不動産作家による【人生の漆塗り日記】

不動産もFXも生涯学習。 建築も人生の質(QOL)も地盤、基礎作りから。

情報に踊らされ慶喜



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 文化の日の11月3日、東京都台東区にある徳川家墓地を訪ねた。徳川家といえば云わずと知れた、徳川幕府の徳川家だ。なかでも人々の注目を最も集めていたのが、慶喜の墓だ。
 さすが、有名偉い人物となると○○家先祖代々の墓ではなく、個人持ち。それはそうだ、ある意味、一国の主だったのだから。だから墓は広く、高い塀で囲われており、柵越しにしか見ることができない。人々はみんな、墓を見て感心はするが、誰一人と手を合わせない。この辺はすでに宗教的衰退か道徳の欠如が見られる。もしくは慶喜に対する評価の哀れか。
 帰りがけ、その慶喜の墓のすぐ近くに何か異様な空気を漂わす空間を見つけた。そこは谷中霊園の中にありながら「寛永寺管理地無断立入厳禁」となっている。
 そこは木が生い茂り、土には苔が生え、カラスが泣くと云った空間で、面白いことに誰も見向きしない。しかしそこが何か重要な施設だと云うことは間違いないだろう。敷地内には当然三つ葉葵、そして奥にかすかに見える墓石は慶喜の物を遥かに凌ぐ。各種石碑の風化の具合も歴史を感じさせる。ここは、慶喜以上の誰かが眠っていると思う。
 しかし人々は無常にも、ここを通り過ぎてただただ「徳川慶喜の墓」と書いてある方向に進み、そしてまた、何事もなかったかのように去って行く。
 以前、上野東照宮に行ったことがある。その時、初めて神殿の中に入ったのだが、入った瞬間声をあげそうになった。それは、そこに目に見えぬ空気を感じたから。するとすぐ後に、外国人2人が入ってきた。この2人は思わず声を出していた。文化が分からなくても、感謝、尊敬の念があれば本当に大切なことに気づくはず。もう情報に踊らされるのはやめようではないか。